
現代語についてのレポートを課された短大生のひとりが、「しかと」
「くだらない」の語源について書いたとします。しかも、その際に参
考にした本が、Qライターズ倶楽部編『ことばのおもしろ雑学事典』
(西東社、1989、絶版)であったりするわけです。
レポートを読み終えてまず人が抱く感想は「なめてんのか、てめえ」
ではないでしょうか。
同書では、「しかと」について:
「花札からきたことばである。花札の中に紅葉の下にシカがいる札があ
り、そのシカは首をかしげて横を向いている。――つまり無視している。
花札では、紅葉は十月を表わすので、横を向いている「しか」と十月の
「と」を合わせて「しかと」ということばができたのである。」
とあり、また「くだらない」について:
「現在とは逆で、昔、日本の中心は関西だった。なので、京から江戸に
来ることを「下る」と言った。その名残りで、江戸時代にも上方から関
東に送られてくるものを「下りもの」と呼び、中でも清酒は、灘や伏見
からの「下り酒」が本場で、関東の地酒は「下らない酒」と呼ばれた。
なので、つまらないもの、価値の劣るもののことを「下らない」という
のだ。」
とあります(らしい)。
これがそのままレポートの結論になっていると知った読者は、愕然とする
でしょうが、しかしすぐに気を取り直して次のようにアドバイスをする
かもしれません:
「君ねえ、大学のレポートの参考書に『おもしろ雑学』はないんじゃな
い。どうせ調べるなら、もっと信頼できる書物があるでしょう。たとえ
ば「しかと」ならば『広辞苑』にも載っているし、米川明彦氏の
『若者ことば辞典』(東京堂)にも書いてあるよ」
と言いつつ同書を開く。すると
「無視すること。花札の十点札に鹿が互いにそっぽを向いているところ
から、「鹿十」が「しかと」になり、無視する意になつた。もともと博
徒〔ばくと〕の隠語。」
とある。どうも『おもしろ雑学』よりも行数が少ないようだ。それに、
花札の鹿は1匹ではなかったかしら。
「それから「くだらない」も、山口佳紀編『暮らしのことば 語源辞
典』(講談社)に載っているよ、ほら」
とページをめくると、
「ばかばかしい。取るに足りない。動詞「下〔くだ〕るに打ち消しの助
動詞ナイがついた連語で、形容詞ではない。「下〔くだ〕る」は「文意
が通じる」意を示す場合があり、それをナイで否定して「意味がない、
筋が通らない」意となり、そこからさらに、「ばかばかしい」という意
味になった。/なお、クダラナイという形が現れるのは近世末期だが、
打ち消しの助動詞ズの連体形ヌを用いたクダラヌという形は近世初期か
ら見える。」(池上啓執筆)
とある。「下り物」の話には触れていない。
『日本語相談 3』(朝日新聞社)で大野晋氏も、『日葡辞書』の「この
経の義理がくだらぬ」、狂言の「さてさて、女といふものはくだらぬこ
とをいふものぢや」を引き、
「〔……〕つまりクダラヌは「すっと筋が通らない」という意味でした。
/このような使い方からクダラナイは一語として独立してしまい、「わ
けのわからぬ」「ばかばかしい」「意味もない」というように変化して
ゆき、おなかがクダルのような、本来のクダルとの縁が忘れられてしま
いました。」
と説明します。中世にすでにして「筋が通らない」という意味で「くだ
らない」が使われているなら、「下り物」説は眉唾である。
ところが「下り物」説は、日本漢字教育振興会編『知っ得 日常ことば
語源辞典』(日本漢字能力検定協会)なんていう本にも見えていて、
「江戸時代までは京都・大阪が上方と呼ばれ、文化的にも江戸より風上
に立っていたので、京から地方へ送る物は「下〔くだ〕り物」と呼ばれ
た。「下り諸白〔もろはく〕」は上方で醸造して江戸へ送った極上酒の
称だったので、まずい酒を「下〔くだ〕らない酒」といったことから、
劣悪なもの、つまらないものを「下らない」というようになったといわ
れる。」
と説明してある。
雑学事典のたぐいは「下り物」説の勢力がさかんなのかもしれません。
「下り諸白」などと、ディテールが細かいために、信じられやすくもあ
る。「下り物」説の出所が大いに気になるところですが、これはたどれ
ませんでした。
「しかと」の「鹿十」説も、もっと詳しく触れた文章がありそうです。
これらの語源説に関して、ご存じのことがおありでしたらご教示いただ
ければさいわいです。
教師「まてよ、これは君自身が調べ直すべきじゃないのか?」
学生「っていうか、あんたも知らないんでしょ」
mie さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 05日 火曜日 2:00:43)
こんにちは、yeemarさん。大阪外大のmieです。
私も、大学のレポート手抜きしちゃうことよくあります。
友達にも、「小学生の作文ちゃうねんから、もっと堅い
文章書かれへんの?」とバカにされることもあります。
私の場合、何を書いてもエッセイになってしまうんですよ。
こんなので、卒論書けるのか不安です…。
ところで、「しかと」なんですけど、私としては「無視する」
で使う場合はカタカナで「シカトする」って書いたほうが
ピタッとしますね。ひらがなだと、「しかと、見届けた。」の
ように副詞の使い方を頭に思い描いてしまいます。
個人のイメージの問題でしょうか?
私のレポート読んで、私の大学の先生も「なめてんのか、てめえ。」
とか思ってらっしゃるのかしら?う〜ん、充分あり得る…。
でもね、学生は学生で結構必死なんですよ。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 06日 水曜日 15:24:38)
学生も必死なんでしょうね。わかります。
「レポートの水準」ということに話をずらしてしまいますが、上記の
エピソードを、その大学ではない他の大学の2、3年生に話したところ、
「えっ、『おもしろ雑学事典』ではだめなんですか」という反応。
うーん、だめではないのでしょうが、それ1冊見てこと足れり、というの
では不十分だと思います。その記述がウソかもしれないわけで。
数冊の本を対照することで、「活字になっているからといって、かなら
ずしも本当とは限らない」と気づく。これがだいじでしょう。
なーんて、あまり言うと、自分に跳ね返ってきますが……。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 06日 水曜日 20:00:43)
〈「くだらない」は上方の酒から〉という説については、
日本社『目からウロコ!日本語がとことんわかる本』(講談社
α文庫、1995。1980年日本社刊の「日本語がわかる本」の改
題・再編集)にも記述あり。
(著作権のことでニュースになったのはこの本でしたか。)
「(前略)「くだらない」は「価値がない」とか「つまらない」
の意味ですが、もともとは“関東のお酒”からきているので
す。
昔から、酒といえば上方が本場とされていました。当然、
江戸へも東海道を下〔くだ〕って運ばれてきます。そこで、
上方の酒を「下〔くだ〕り酒」と呼んだのです。それに対し
て、関東の酒は、東海道を通ることがないので「下〔くだ〕
らぬ酒」と呼ばれたのです。これは、上方の酒に比べて、原
料の米、水質ともに悪いせいか、味も数段劣ったそうです。
そこで生まれたことばが「くだらない」というわけです。」
(p.47)
「下り酒」「下り物」「下り諸白」すべて実際にあることば
らしい。江戸の人がそれを舐めながら「是に比べて江戸のは
まづい酒だ、くだらぬ酒だ、ハヽヽヽヽ」と冗談で言ったこ
とぐらいはあったかもしれないと思います、が……
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 07日 木曜日 0:35:14)
「ことば雑学」の世界に隠然たる力を誇っているのが、三井銀行からさくら銀行ではないかと思っております。
現在は、
本書は、ダイヤモンド社より刊行された『ことばの豆辞典』を文庫収録にあたり大幅に再編集した。ということですが、これは1969.4.17の刊行です。そのダイヤモンド社本によれば、
この本は、昭和三十一年九月発刊以来、東京、大阪、名古屋の地下鉄主要駅、および三井銀行支店で配布し好評を博している三井ファミリー・カード「ことばの豆辞典」の一部を集大成したものです。ということです。さて、この三井ファミリーカードですが、実物を一枚だけ持っています。何かの古本の間から出て来たものですが、1006号(1976.1月12日号)です。縦が10cm弱、横が5cm程度の薄い紙切れです。「毎週月曜日発行」とのことです。18字*16行の三段組み。表に「ことばの豆辞典」と書かれ、1006ともあります。このカード自体が1006号で、「ことばの豆辞典」も1006ですから、このカードは「ことばの豆辞典」と共にある、ということになります。この号のテーマは「鳥追」。その他に「地名の由来」というのが8行ほど書いてあります。ちなみに裏は、さすが銀行だけあって、「お金の話あれこれ」です。これには号数は書いてありません。この手持ちのカードは、先述のダイヤモンド社の書籍よりも後に出たものです。ダイヤモンド社から続冊が出たのかは知りませんが、最も広範な形で見ることが出来るのは、
さて、前置きが長くなりましたが、「くだらない」です。情けないことに角川文庫版では確認出来ないのですが(第5集か)、三笠書房の第1冊で見ることが出来ます。
清酒は昔から上方が本場とされ、この本場の酒が東海道を下って江戸へ運ばれてきたので、これを「下り酒」と呼びました。これに対して、関東で作られていた地酒は、東海道を下らないので「下らぬ酒」と呼びみあした。地酒は原料や米の水質が劣り、味が一段落ちるので、「下らぬ酒」はまずい酒の代名詞となり、やがて取るに足りないなどを意味する「くだらない」ということばができたというものです。
もう一つの語源説は、「くだらない」の反対は「くだる」で、謙遜するという意……語源説を列挙するとは、やりますね。これがひどい本になると、おそらく日本国語大辞典をみたのでしょうが、日本国語大辞典の語源説の意味を知らないらしくて、語源がたくさんある、とトンデモ語源も含めて交叉語源であるかのように書いてある本があります。
日本語倶楽部編『語源 面白すぎる雑学知識2』青春BEST文庫B027、1991.1.5
にも「下り酒」がらみでありました。この本の参考文献は、辞書類を除くと、池田弥三郎「日本故事物語」(角川書店)・楳垣実「舶来語・古典語典」(東峰出版)・故事ことわざ研究会「暮しの中の語源事典」(昭和出版社)・樋口清之監修「語源ものしり事典」(大和出版)・興津要「語源なるほどそうだったのか!」(日本実業出版社)・安達巌「日本食物文化の起源」(自由国民社)・岩淵悦太郎「語源散策」(河出文庫)といったところです。この項は「清酒が出来たのは」という記述もある所から、「食物文化」あたりの本が種本でしょうか。
ふー疲れました。シカトはまた明日。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 07日 木曜日 21:31:02)
厖大な文献のご紹介ありがとうございます。
「ことば雑学」の世界にも闇将軍みたいな存在があるとは知りませ
んでした。
「知的生き方文庫」は見過ごしていました。日本書籍出版協会の
サイトで検索したところでは
ことばの豆辞典 3集(心理・行動・生き方に関する)
さくら銀行編 1994 \495 三笠書房
も出ているようです。
このところ、この手の「雑学本」を少しずつ買い足していますが、
どうも抵抗があります。新野直哉氏のような視点で活用すれば有用
なのかもしれません。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 08日 金曜日 17:30:22)
シカト
まずは『現代用語の基礎知識』まわりから。米川明彦『若者ことば辞典』(東京堂)では『現代用語の基礎知識』は80年版以降を対象としていて、シカトも80年版から載っていますが、『現代用語の基礎知識』80年版を見てみると、「本書の79年版記載の若者用語の大部分を省いたが」とあります。不審に思い、79年版を見て見ると、「日米青年の生き方を比較する用語集」が、同じ堀内克明氏の担当で載っていました。巻頭特集に入っていることから、おそらくこの年から始まったものでしょう(未確認)。
さて、この79年版にも「しかとする」は載っています。80年版と全く同じ説明です。「しかとにするとも言う」や、「花札のシカがそっぽを向いているところから生まれた表現と言われる」「以前から根強く」という感じです。
#「若者用語」で項目語なのに「全用語索引」に取られていないものも多いようです。困りますねえ。
#日本語雑学本でも、100円以下なら、取り敢えず買う、というのが私のスタイルですが、端本が取り合わせで揃いそうだと買う可能性はあります。
佐藤@岐阜大 さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 08日 金曜日 21:12:37)
「くだらぬ(ない)」の追加です。
酒がらみ
・板坂元『語源の日本史探検』同文書院(快楽脳叢書52)1993.12.25
酒なし・上方文化が上
・村石利夫『知ってなるほど語源1000 勘違いしている言葉・意外な由来365日』講談社+α文庫 1995.4.20
むぅ。
言魔 さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 09日 土曜日 7:38:20)
昭和48年頃、埼玉県南部では既に使用されていたのが「シカト」
その数年後、とある業界筋の方(「ヤ」ではじまる自由業の方)と
ひょんなことからお知り合いになってしまいまして...その
方がおっしゃるには「シカを決め込む」という表現もあった
ようです...ちなみに、かれこれ20年、その筋の方々とは
おつきあいがありませんが、マトモな方でした..
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 09日 土曜日 16:20:47)
毎日新聞社『ビジネスをスムーズに進める/隠しことば2000語』1995.11.30
では、「ヤクザ言葉が暴走族に伝わったもの」としています。花札の鹿と10です。
角界の隠語に「シカをきめる」というのがあり、「しかと」と通じる意味であるとしているのが、前掲『隠しことば2000語』と、日本語の謎研究会編『現代用語の大語源』青春BEST文庫B321、1996.12.25で、語源は花札の鹿ということです。
この二書は、共通の参考文献として、板坂元『『業界』用語の基礎知識』日本実業出版社がありますので、多分、これが元でしょう。
あと、シカトの語源の異端の説として、岡林隼夫『ことばの探偵社 本日開店』はまの出版1987.9.28を挙げておきましょう。九州方言のシカトモナイ(つまらぬ)をシカトと結び付けているのです。語形の類似だけで解けるなら、関西方言のシカツイ(しかつめらしい)等というの(「シカツウする」なんてね)を挙げることも出来るわけですが(単なる例示で、語源説を増やしているわけではありません)、岡林氏が福岡の方言ではないかと思ったきっかけが、ニュースで福岡における暴力団の抗争を見たことだというのですから、なんともいやはやです。
この岡林隼夫氏の『日本語探検』光文社文庫お13-1、1989.12.20によりますと、くだらないを百済と関連付ける説があるとのこと。そういえば以前にもパソコン通信上で読んだことが有るような気がします。国産よりカラ渡りのものがよいのだ、というような感じで。これも出所しらまほし。
「シカをきめる」は、言魔さんが書かれましたね。角界ではなくヤ界ですか。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 10日 日曜日 10:09:55)
「goo」でことば調べをしてみました。「くだらない」「語源」
で検索した結果167、「下らない」「語源」の結果58のうち「くだ
らないの語源」に触れてあるものが若干。
以下「上方の物より江戸の物は劣る」話で説明したもの。
「毎日新聞・日本酒雑学ミニ辞典」(酒)
「よろずデータベース・ことば編」(一般)
*目黒区「海難供養碑」に記述あり? 行ってみようか。
「とらやトピックス」(一般)
「田村酒蔵 ひねりもち 創刊号」(酒)
次は語源は書いていないが「木枯し紋次郎」の新作にあるか?
「BOOK情報」
変わり種は以下のサイト。
「へんてこりんなことばのでどころ」(へりくだる(謙遜する)ことをしない)
疲れたので「しかと」はまだ検索していません。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 10日 日曜日 18:50:23)
見坊豪紀『現代日本語用例全集』(筑摩書房1988.4.30)では、シカトは1966年の週刊朝日の例を挙げていますが、「参考」として、「月刊ことば」79-7のp75に載っているという志野祥司氏の「鹿十→しかと」を示しています。「月刊ことば」はある程度集めて持っていますが、自宅においてあるのは、「ことばパトロール」のコピーだけ。残念ながらその号の「ことパト」はpp.76-77(ほとんどの号がそうであるようです)。火曜日に研究室で見てみます。
「ことパト」をぱらぱら見ていると、78-2に「これがわかればあなたは若い!」の中に「シカトする」もありますが、出典がありません。79-5にも「しかと」があり(朝日新聞)、これを受けてのものでしょうか。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 11日 月曜日 9:57:54)
ええと、手持ちの材料がありませんので、「gooでことば調べ」の
続きです。
「シカト」「語源」で13件。
すでに金川欣二氏もお書きでした。
「言語学のお散歩」(相撲界から花札の十点札)
「酔っ払い日記」(花札で鹿十文)
「しかと」「語源」で20件。
「与太郎話の部屋」(鹿頭)
Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 11日 月曜日 10:11:53)
「くだらない」「百済」で「gooでことば調べ」をしますと、
結果は8件。駄洒落・あて字として使われる。
語源説として出ているのは
で、「間者猫」氏の発言(1998/05/13 22:20:35)中「韓国の
方から」聞いたとして、「百済にない物はない という事で
くだらない」とあります。
また同ページに戸次鑑連氏の発言(1998/05/13 09:24:46)と
して「上方から地方に流れない物」(品質が悪くて他地方に
移出できないということか)説あり。
百花繚乱。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 11日 月曜日 18:21:33)
クダラヌの「へりくだらない」は、書籍では、井之口章次『ことばの手帖』(ハヤカワ・ライブラリ1965.11.15)が、そうであるようです。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 12日 火曜日 11:24:13)
『月刊ことば』79-7のシカトは「談論風発」という投書のコーナーでした。79-5の「ことばパトロール」では2.15の朝日新聞を挙げていたわけですが、それについて「電話で投稿」でがあり、2.22の朝日新聞に「鹿十」説が載っているそうです。
それから「鹿の角」のシャレというのが、『言語生活』38-1の真山恵介「現代にもっとシャレを」という文にのっているそうですが、『言語生活』136、手元に無い。目次によると、青木一雄・三笑亭夢楽との座談会であるらしい。
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 12日 火曜日 15:50:45)
「へり下らない」は『大言海』。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 1999年 10月 14日 木曜日 14:12:45)
「言語生活」136(昭和38年1月)
「現代にもっとシャレを」
真山〔恵介、作家・寄席評論家〕 シャレを一応直している話がありますよね。たとえば、めくらの小せんなんて、名人だった人だけれども、この人なんか……、その時分までは、「てめえ、何言ってもソッポばかり向いていやがる。“鹿の角”みたいなつらしやがって」といった。これは、花札で、鹿の角こっち向いているからね。それが万世橋のところに、はじめて仁丹の広告ができた。あの仁丹の広告って、こっち向いているんですよね。(と首を横に向ける。笑)「何言ってもソッポ向いていやがる、仁丹の広告野郎」と言って、たいへん受けたという話があるんですよね。〔……〕(p.8)
「朝日新聞」1979.02.15 第20面(東京面)には、「陰湿、じわじわと“小暴力”」「「いじめ・しかと・さわる」殴打よりつらい?」の題で、足立三中生の自殺その後を報じています。その中で
しかし、事件後、二年生全員が書いた追悼文の中には「いじめ」「ちょっかい」「さわる」「しかと」という、小さな暴力を物語る言葉がいくつも出てきた。とくに「しかと」は「口をきかないこと」を意味する“隠語”で、「しかとする」「しかとされた」といった具合に使われる。
警視庁が編集した「警察隠語類集」(昭和三十一年)に、とばく用語で「しかとう=とぼけること」とある。足立三中の男生徒の間では「しかと」の形で日常語になっている。足立区内だけでない、都内のかなりの地区で、一部小学生まで使っている、ともいわれる。こんなヤクザの隠語が、二十年ほどの間に小、中学生の間にまで定着したらしい。
しかとう とぼける 花札のモミヂの鹿は十
でありその鹿が横を向
いているところから(博)
「朝日新聞」1979.02.22 第21面(東京面)の「03(212)0023」欄では
◇「しかと」の語源先日のこの欄に、小、中学生が仲間外れにする、口をきかないことを「しかと」という、と書いてありました。以前、この語源を調べたことがありますので、ちょっとお知らせを。「しかと」は戦後のことばですが、もともとは「とぼける」ことを意味するようです。花札に十の数を表す、四枚のモミジがあります。その一枚に、そっぽを向いたシカが描いてありますが、このシカと十、つまり「しかとう」または「しかと」ということらしい。
戦後の一時期、東京都内に「鹿十団」という盗みのグループがあって、捕まるとだれもがそっぽを向き、知らんふりして仲間のことは一切しゃべらなかったとか。これが変わった形で、子どもたちの間に入り込み、いま、下町の子どもたちがさかんに使っているようです。
――武蔵野市、会社員(三二)
「しかと」「くだらない」語源説の出所 # に続く
上が「ページ不明」の場合
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